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これからが旬!大蔵大根
永井文敏さん
(喜多見4丁目在住)
『ポンポコ新聞』
第2号より(2000.11)
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――このごろよく聞くようになりましたが、大蔵大根てどんな大根ですか?
「世田谷区の大蔵原と呼ぶこの辺りの地場産で、白首で上から下まで
同じ太さの大根です。繊維が多くてだしの含みが良いので、煮物やおでん
に向いています。実は7年前、私が会合で「なんで作らないの」と言ったの
がきっかけで、自ら率先して作る事になってしまいました。でも形が大きい
ために店では扱いにくいらしく、庭先だけで売っています。」
――喜多見に住んでる特権ですね! いつ頃から収穫されるんですか?
「8月10日前後に種をまいて、11月から2月頃にかけて収穫します。
アブラムシやダイコンクイムシがつくので、全く無農薬という訳にはいき
ませんが、なるべく低量に抑えて、家畜糞や残飯を発酵させた有機肥料
で作っています。11月には区の品評会にも出品します。」
――永井さんのお家はいつ頃から喜多見にいらっしゃるんですか?
「慶元寺の墓碑などで見ると400年くらい前からここにいるようです。
ちなみに、慶元寺は800年前、氷川神社はその倍といわれています。」
――最後に、夢を聞かせてください。
「以前はサラリーマンで、自称「楽農家」なんて、呑気な事を言っています
が、私の代で農業は終りかもしれません。私の夢は障害者の皆さんと野菜
や花を作る、「ファームセラピー」をすることです。21世紀も都市農業を続け
ていくことの意味は大きいと思っています。」
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喜多見が誇る
「無人スタンド」
森さんのスタンド
池田さんのスタンド
石井さんのスタンド
『ポンポコ新聞』
第23号より(2005.11)
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喜多見でよく見かける無人スタンド。喜多見には全部で36ヶ所あり、
特に4丁目と7丁目に集中していることがわかりました。無人スタンドは、
新鮮で美味しい野菜や果物が食べられるというだけでなく、誰もいなく
ても勝手に持ち去られないという、生産者と住民の信頼関係の証しで
あり、喜多見の誇りですね。生産者の皆さんに野菜作りへのこだわり
などを伺いました。
森 良典さん(喜多見4丁目)
「夏場の人気は枝豆・胡瓜・トマト。トマトはハウスで作っているので
甘くて皮が薄くて食べやすいと好評です。冬場の人気は、ほうれん草。
遠くからも買いに来られるようで、すぐに売切れてしまいます。98才の
おじいちゃんが畑の草取りをしてくれています」
池田鏡一さん(喜多見3丁目)
「自分の家で食べる分と、無人スタンドに出す分だけを作っています。
虫がいると嫌がられますが、消毒をできるだけ少なくし、区の減農薬・
減化学肥料の基準よりも少ないです。湧水はきれいだし、夏は冷たく
冬は暖かいので、野菜を洗ったり、シャキッとさせるのに利用してい
ます。区画整理で大分変わりますが、無人スタンドは続けます」
石井淳良さん(喜多見1丁目)
「肥料に米ぬか・油粕を使う有機野菜で、皆さん美味しいと言ってくだ
さり、大体午前中には無くなります。昨年は東京都の品評会で枝豆と
レタスが、今年は区の品評会でズッキーニとジャガイモで賞をもらい、
評判を聞いて大森や渋谷などからも買いに来られます。昨年から息子
が一緒に畑仕事をすることになり頑張っています」
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次代を担う若者たち
「城田恭宏さん」
みやっぱら公園横の畑で
須賀神社横の畑では
ナスが作られていました
『ポンポコ新聞』
第35号より(2009.5)
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城田家は喜多見四丁目の登戸道と筏道が交わるところにあります。
次大夫堀公園民家園に移築された「さかや」の元の家主さんです。
恭宏さんは元々普通のサラリーマンでしたが、子どもの頃から
(継ぐことになるんだろうな)と思っていて、三年前、お父さんが
農業協同組合(JA)の常任役員になったのを機に「ちょうど良い機会
だ」と特に抵抗なく、仕事を辞めて農業を継ぐことにしたそうです。
「それに、若いうちから始めれば、それだけたくさん覚えられるし、
後の人達にも教えられますから」と意欲的です。
JAには「農業塾」という制度があり、恭宏さんも七期目の塾生です。
二十歳台から五十歳台までの十五人が月二回集まって農業を基礎
から学んでいます。お父さんも休みの土日に野菜作りを教えてくれ
ますが、まだ指示されたことをするのが精一杯。消防団にも入ってい
て、農家の方が多いので、よく遊びに来ては教えてくれるそうです。
「三年ではまだまだ。十年でやっと一人前」と謙虚です。
今、みやっぱら公園横の畑では枝豆、トマト、ピーマン、シシトウが、
須賀神社横の畑ではナスが作られています。でも自宅の無人スタンド
で野菜を見ることはほとんどありません。不思議に思って聞くと、
作る数が少ないこともありますが、常連さんが直接買いにきたり、
畑にいる時に、できたそばから「売ってください」と声を掛けられて、
すぐ無くなってしまうそうです。
「会社員の時は忙しく、夜勤も多くて太陽を見ない日もありました。
今は、腰は痛くなりますが、予定を考えつつ調整しながら仕事ができる
し、健康的です」と恭宏さん。一人の時はイヤホンで音楽を聴きながら
畑仕事をする、いまどきの若者です。「若い考えと昔の考えを合わせて
いい感じになっていけばいいと思っています」という気負いのない自然
な言葉から、喜多見の畑はまだ大丈夫、と未来に期待がもてました。
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エコファーマー
「永井 潔さん」
喜多見4-3-31
永井さんの無人スタンド
『ポンポコ新聞』
第48号より(2012.8)
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喜多見にはたくさんの無人スタンドがあります。私が休みの日によく
買いに行く、喜多見4丁目の永井潔さんにお話を伺ってみました。
永井さんは香取さんと2人で、喜多見中学校の給食用食材として、
玉ネギ、ジャガイモ、人参、大根、白菜、サトイモなど旬の野菜を届け
ています。
農産物には数種類の認証制度がありますが、永井さんは「エコファー
マー」の認証を受けています。エコファーマーは、堆肥などを使った土
づくりと化学肥料・化学農薬をできるだけ使わない農業者の愛称です。
2012年4月現在、世田谷区内には7名のエコファーマーがいます。
永井さんの畑では、八王子の牧場で取れた堆肥や魚・骨を砕いたもの
を使っています。皆さん、味が分かって買ってくれているので、改めて
表示していないそうです。確かに、味がしっかりしていて、甘くて美味しく
て、そんな秘密があったんですね。
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