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送電線
をたどってみました


川世線31
S40.10建設、高さ50m

川世線32
S15.12建設、高さ35m

川世線33
S55.9建設、高さ60m

川世線34
S56.6建設、高さ59m

川世線35
S56.6建設、高さ59m


写真①

写真②

写真③

写真④

写真⑤

写真⑥

『ポンポコ新聞』
第79号より(2023.9)

 
 この夏(2023年)は猛暑日が過去最多を更新し
 エアコンを動かす電気の有難みをひしひしと感じました。
 2016年4月に電力小売全面自由化した後も
 以前と同じ送配電ネットワークを使って
 電気が届けられています。
 そこで、喜多見にもある鉄塔から
 送電線をたどってみることにしました。

  喜多見に鉄塔5基

 発電所でつくられた電気は
 変電所で使いやすい電圧に下げられ
 一般的には空中を送電線で送られます。
 この送電線を支えるのが鉄塔で、喜多見には
 喜多見小学校近くの「川世(かわせ)線31」から
 世田谷通り交差点にある「川世線35」まで
 5基あります。

  千歳変電所と南武変電所

 この送電線を北へたどると明正小学校や
 成城学園前駅近くを通り、
 京王線を越えて中央道の手前にある
 千歳変電所(世田谷区北烏山)、
 南へたどると東名高速を越え、
 宇奈根の「川世線29」で千南線と分かれ、
 それぞれ多摩川を渡り再び合流し、
 南武変電所(川崎市高津区)へ
 つながっています。

  各家庭には

 川世線の送電線は15万4千ボルト2回線
 ですが、宇奈根にある「川世線29」から
 千歳変電所へ向けて下段に千南線6万6千ボルト
 2回線を併架しています。
 また、成城の「川世線38」で成城線
 (地中送電線)に分岐しています。
 配電用の成城変電所(世田谷区砧)で
 6600ボルトに下げ、町なかにある電柱の
 柱上変圧器で100ボルトまたは200ボルト
 に下げて各家庭へ電気が届けられています。

  川世線の元は群馬線

 この「川世線」の元は、1922(大正11)年12月に
 運転開始した群馬県の金井発電所(吾妻川利用の
 水力発電所)から川崎へ至る送電線(群馬線)です。
 渇水期の水力発電量減少を補うため
 1926年・1927年に川崎市内で
 火力発電所も運転開始しました。
 金井発電所は今も現役です。
 
 送電線をたどれば迷子になることもなく、
 歴史も感じられ、
 何気なく眺めていた風景が違って見えます。



  鉄塔の形

 喜多見の町なかで見かけるのが四角鉄塔、
 成城に多いのが鋼管単柱鉄塔(写真①、川世線41)、
 小田急線の線路にあるのが門形鉄塔(写真②)など。

  イカ発見!

 世田谷通りから水道道路を下ると
 沢山の鉄塔が見える中にイカ発見!
 (写真③右端)「川世線32」です。
 宇奈根にある「川世線27」「川世線28」、
 成城三丁目緑地にある「川世線36」も同じ形です。
 昭和15年12月に一斉に建て替えられた鉄塔で、
 鉄塔好きの間で「イカ鉄塔」「イカちゃん」と呼ばれ
 人気があります。

  千南線特8

 多摩川の河原にある「千南線特8」も素敵です
 (昭和32年7月建設、高さ28m)。
 土台が産業遺構を思わせる煉瓦積み(写真④)、
 真下から鉄塔を見上げることもできます(写真⑤)。
 「川世線27」とともに(写真⑥)多摩川を渡る
 長い送電線を支えており、「いつも有難う」「頑張って」
 と声を掛けたくなります。



 参考資料:
 東京電力パワーグリッド「空き容量マッピング図表」2023.8、
 東京電力リニューアブルパワー「水力発電所一覧」2023.3、
 wiki「東京電力(1925-1928)」、
 Oka Laboratory 備忘録HP、
 鉄塔中毒HP、
 電気のとおりみちHP 他、

 取材協力:東京電力パワーグリッド

 




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