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スサノオの
八岐大蛇退治


月岡芳年・画
「日本略史 素戔嗚尊」
1887年
左上は稲田姫


須佐神社
スサノオ終焉の地で
御魂鎮の霊地
大杉は樹齢約1300年
出雲市


奥出雲の棚田
仁多米は「東の魚沼、
西の仁多」と言われる
ブランド米です
(写真:農水省資料)


斐伊川中流部
砂鉄採取に伴う廃砂により、
網状砂州が発達した
砂河川です
(写真:国交省資料)


実は親子
「大国様と恵比寿様」
喜多見氷川神社の節分祭にて


『ポンポコ新聞』
第75号より(2021.8)
  

 日本には八百万の神様がいるといわれ、木・岩・山などの自然物、
 歴史上の偉人も神社に祀られています。
 氷川神社や須賀神社の祭神スサノオ(素戔嗚尊)は日本神話に
 登場する神様です。八岐大蛇退治を中心に調べてみました。

 【 神話の概要 】
 スサノオは父イザナキの命令を聞かず追放され、姉アマテラスのいる
 高天原に行きますが、乱暴狼藉を働いたためアマテラスは岩屋に
 隠れてしまいます。世界は暗闇となり、神々の計略でアマテラスを岩屋
 から引き出し、スサノオは再び追放されます。スサノオは肥河(現在の
 斐伊川)のほとりに降り立ち、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の生贄にされ
 そうになっていた稲田姫を救うため大蛇を退治、尾を斬って出てきたのが
 草薙剣(くさなぎのつるぎ)です。スサノオは稲田姫と結婚し日本初の和歌
 「八雲たつ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」を詠みました。

  諸説あります
 八岐大蛇退治については、大蛇の姿を度々氾濫した斐伊川(島根県仁多郡
 奥出雲町の船通山に発し出雲平野を通り日本海にそそぐ川)とその支流に
 たとえ、治水事業を大蛇退治だと考える説や、スサノオが大蛇を退治して剣を
 得ることから奥出雲のたたら製鉄集団と大和との抗争を意味するという説、
 元は山の神である蛇が田の神に会いに来た伝承だったのではないかなど、
 様々な説があります。

  斐伊川の最上流では
 奥出雲町は、高天原を追放されたスサノオが降り立った地であり、稲田姫の
 生誕地でもあります。世界で唯一「たたら製鉄」を継承しています。「たたら」
 といえば映画『もののけ姫』が思い浮かびますが、ここでは、原料の砂鉄を
 採取するため山を切り崩す一方で跡地に牛糞堆肥やソバを蒔き棚田に再生
 してきました。この棚田では「仁多米」、農耕や運搬の役割を担った和牛は
 「仁多牛」、ソバは日本三大蕎麦の一つ「出雲そば」、燃料として輪伐してきた
 薪炭林ではシイタケが栽培され、同時に生物多様性も維持されるという世界
 に類のないシステムを構築しています。2019年に日本農業遺産に認定され、
 現在は世界農業遺産の認定を目指しています。

  斐伊川の中下流では
 「たたら」での廃砂により、斐伊川の中下流では川底が上がり洪水を起こし
 やすくなる一方で、土砂を利用して新田開発を行うなど有効利用してきました。
 近年は上流からの土砂供給減少や都市化に対応した治水事業が続けられて
 います。

  氷川は斐伊川から?
 氷川神社という名の神社は、荒川と多摩川沿いに多いそうです。
 大宮氷川神社の社記によると「出雲族の兄多毛比命が朝廷の命により
 武蔵国造となって当社を奉崇した」、社名については「出雲の大河である
 斐伊川にちなむ」「霊験あらたかな泉を表す」という2説があるそうです。



出雲大社
スサノオの子孫オオクニヌシ(大国主神)
を祀り、毎年10月に神々が集まります
出雲市

美保神社
オオクニヌシの子コトシロヌシ
(事代主神、ゑびす様)を祀ります
松江市

 表記について :
 神様の名は『古事記』『日本書紀』『出雲国風土記』で字が異なることから
 基本的にはカタカナ表記にし、尊称を省略しています。

 参考資料 :
 奥出雲町HP、雲南市HP、武光誠『一冊でわかる古事記』2012.7、
 日本農業遺産「たたら製鉄に由来する奥出雲の資源循環型農業」2019.2、
 国土交通省河川局「斐伊川水系河川整備基本方針」2009.3変更など

 




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