この「水」は
何処から来て
どこへ行く?
A 浄水場の位置
B 富士山と山中湖(wiki)
C 長沢浄水場(wiki)
D 利根川と多摩川
との連絡施設
E 羽村取水堰
F 村山下第一取水塔
G 成城排水調整所
H 宇奈根の樋門
I 野川の吐口
『ポンポコ新聞』
第70号より(2019.3)
|
喜多見に砧浄水場があるので、私達が使う水はすべて
ここから来ていると思いがちですが、違うようです。
水はどこから来てどこへ行くのか確かめてみることにしました。
相模川の水が多い
水道水は決まった浄水場から来ているわけではなく、
喜多見の水は、相模川、多摩川、利根川・荒川の混合、
浄水場でいうと多い順に、長沢①、砧②、朝霞③、三園④、
三郷⑤で、多摩川より相模川の水のほうが多く、
何かあった時には東村山⑥からも来ます。
(図A、東京都資料の図に浄水場番号と説明を追加)
【解説】 写真B
相模川は富士五湖の一つ山中湖を水源とし、
富士山北麓の水を集め、相模湖と津久井湖(ダム湖)を経て、
平塚市・茅ヶ崎市の境付近で相模湾に注ぎます。
【解説】 写真C
長沢浄水場本館は独特の雰囲気で、
『ウルトラマン』の初代バルタン星人に占拠された科学センター、
『仮面ライダー』の主人公・本郷猛が通う生化学研究所など、
特撮作品のロケ地として多く用いられています。
給水所から各家庭へ
おおまかな流れとしては、川を取水堰で堰き止めたり、
表流水を取水塔で取り入れたりした水を貯水池や浄水場へ送り、
浄水場でろ過・消毒し、ポンプで給水所に送って配水池にためた後、
ポンプで各家庭へ送っています。
【解説】
砧浄水場は多摩川の伏流水(川底を流れる地下水)を
井戸で汲み上げているので取水堰や取水塔はありません。
全体をコントロール
東京都は、全域を24時間体制で監視し、季節、天候、曜日
などで変わる需要に合わせて水の流れを調整しています。
朝霞浄水場と東村山浄水場を連絡管でつなぎ、
利根川水系の水と多摩川水系の水を相互に融通する、
といったことも行っています。(図D、出典:東京都資料)
【解説】 写真E
羽村取水堰は玉川上水と同時に建設され1653年に完成。
江戸時代から続く投渡堰という型式で、大雨で多摩川の
水位が上がると杉丸太で設置した堰自体を下流に流し
水位が下がると再構築します。
【解説】 写真F
村山・山口貯水池(多摩湖・狭山湖)は小作取水堰や
羽村取水堰から取水した多摩川水系の水を貯留し、
東村山浄水場と境浄水場へ導水しています。
村山下第一取水塔は「日本で一番美しい取水塔」
とも言われます。
使用後は
家庭から出た汚れた水は下水道管に入ります。
下水道管は下水が自然に流れるように傾斜がつけられ
徐々に地中深くになっていき、相当の深さになると、ポンプで
下水を地表近くまでくみ上げ、再び自然流下させます。
近くでは世田谷通り沿いにある成城排水調整所(写真G)
がこのポンプ所です。
その後、羽田空港の近くにある森ケ崎水再生センターへ送られ、
きれいに処理された後東京湾に放流されます。
雨水は多摩川と野川へ
喜多見は全域が分流式なので、
家庭の雨どいを通った雨水は汚水とは別に流します。
雨水専用の管が整備されている喜多見1・2丁目(喜多見団地を除く)
からは宇奈根にある樋門(ひもん、写真H)から多摩川に入ります。
それ以外の地域は未整備のため、道路に降った雨と一緒に
道路の側溝を通り、野川に入ります(写真I)。
取材協力 :
東京都水道局南部支所世田谷給水管工事事務所
東京都下水道局南部下水道事務所世田谷出張所
世田谷区土木部工事第二課砧土木管理事務所
|