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10月はお祭りで大忙し
「氷川神社」



『ポンポコ新聞』
第11号より(2002.10)

 喜多見4丁目にある氷川神社の禰宜:野澤秀典さんにお話を伺いました。

 ――由緒を教えてください。
 「740年の創建と伝えられていますが、多摩川の洪水で古縁起・古文書などが
 流失してしまったため詳細は分かりません。1570年、この地の領主江戸刑部
 頼忠が当社を修復し、1687年、喜多見若狭守により再建されました」

 ――文化財が色々ありますよね。
 「1654年に喜多見重恒・重勝兄弟から寄進された『石鳥居』は世田谷区内で
 最も古く、関西系の花崗岩でできている点でも珍しいようです。節分に行う
 『鬼やらい』や『神前神楽』は氏子によって伝承された郷土芸能で区内では
 唯一のものですし、面や衣装も文化芸能史上貴重なものです」

 ――他の神社の宮司もされていると聞きました。
 「神社の数より神職の数が少ないために兼務しています。ここを本務社として、
 氷川神社(大蔵)、氷川神社(宇奈根)、神明社(祖師谷)、三峯神社(砧)、
 稲荷神社(千歳台)、八幡神社(岡本)、天神社(鎌田)、諏訪神社(玉川)、
 須賀神社(喜多見)の宮司もしています」

 お祭りの準備で忙しい中お時間いただきありがとうございました。

  氷川神社
 世田谷区喜多見4-26-1
 http://www5e.biglobe.ne.jp/~hikawa-j/



五穀豊穣を祈る
「アボヘボ」







『ポンポコ新聞』
第30号より(2008.1)
 
 お正月に氷川神社へ初詣に行くと、テントの中にたくさんの梅の枝が
 吊り下げられているのを見ることができます。アボヘボの一部です。
 10月に行われた大祭で、天狗さんからお誘いを受け、アボヘボ作りに
 参加させていただくことができました。

  アボヘボとは
 私たち日本人の主食はお米です。しかし昔の人たちにとって白いお米という
 のは貴重なもので、日常には粟(あわ)や稗(ひえ)などが食べられていました。
 粟や稗のできは庶民にとって重要なことで、「粟穂稗穂(アボヘボ)」は、このよう
 な中から生じた行事です。主に東日本で見られた風習で、地域により様々な
 形があります。

  氷川神社では
 氷川神社で授与されるアボヘボは、喜多見、大蔵、祖師谷あたりに伝わる
 豊作祈願として、年の初めに神棚・玄関などに飾り付け、祝うもので、世田谷
 では現在、ここでしか見られないそうです。境内に自生しているニワトコの木を
 削って花のような形を作り、粟の穂をつけ、完成形は梅の枝に刺します。

 ニワトコは、軽く、芯はコルク質になっています。枝葉を煎じ、患部に塗り、
 発熱や打撲の治療に用いたことから、別名「接骨木(せっこつぼく)」とも呼ばれ
 ています。ニワトコの枝葉を煎じた汁を小鳥に飲ませると小鳥の病気が治る、
 小鳥の止まり木にニワトコの枝を使うと小鳥が病気にならないとも言われます。
 早春に芽を吹きめでたいこと、花開くように作ることから、無病息災・商売繁盛・
 進学成就に通じます。冬至(12月22日)は、一年のうち最も日が短くなる日で、
 陰が極まって陽が帰ってくること、境から運が向いてくる転換の日、「一陽来復」
 ともいいますが、アボヘボはこの冬至の日に作ります。

  昔話にも花が咲く
 この日に集まったのは、写真奥から、小川兼吉さん、加藤富一郎さん、
 中村秀雄さん、西山松治さん、永井勇さん、佐久間亨さんの6人。ニワトコの
 木をナイフで削ると、緑色からクリーム色へと変化するグラデーションが出て
 きます。「今年のニワトコは出来がよくないね・・・なんて木のせいにしたりして」
 と笑いながら、それぞれ個性的で、きれいな花を作っていきます。作業をしな
 がら昔話にも花が咲きます。「子どもの頃、今の成城は雑木林で、届け物を
 頼まれると、怖くて一目散に走っていった」「喜多見も家があまりなく、
 『大蔵真っ暗、来た道忘れて、もう狛江狛江』という笑い話があるほど」
 「多摩川でキツネの嫁入りを見た」「遠足の時は用賀まで歩いて行った」のほか、
 「氷川神社の石鳥居に使われている石は、関西から河野水軍が運んできた」
 「北海道の北見の人がお参りに来たことがあり、喜多見と北見は関係がある
 はず」など。

 アボヘボを作る人が年々減ってきているそうですが、先祖から伝えられてきた
 伝統を何とか継承していきたいものです。

  参考資料:
    氷川神社 http://www5e.biglobe.ne.jp/~hikawa-j/、
    世田谷区教育委員会『あるじでえNo.36』1999.9



氷川神社の夏越大祓神事
  「茅の輪くぐり」


2015年6月30日
神官を先頭に
茅の輪をくぐりました

『ポンポコ新聞』
第60号より(2015.8)

 人が知らず知らずのうちに犯したであろう罪や過ち、心身の穢(けが)れを
 祓い清めるための神事を「大祓」といい、毎年6月と12月に行います。氷川
 神社では2012年から毎年6月に「茅の輪くぐり」神事を行うようになりました。

 昔、素盞鳴尊が旅の途中で、蘇民将来と巨旦将来という兄弟のところで宿を
 求めました。弟の巨旦将来は、豊かな生活をしていたのにそれを断りました。
 兄の蘇民将来は貧しい暮らしをしていましたが、素盞鳴尊を泊め厚くもてなし
 ました。数年後、素盞鳴尊は再び蘇民将来の家を訪れて、「もし疫病が流行
 することがあったら、茅(ち=かや)で輪を作って、腰につけていれば疫病に
 かからないですむでしょう」 と教えました。

 これから、「蘇民将来」と書いた紙を門に貼っておくと災いを免れるという
 信仰が生まれました。茅の輪も、最初は人々が腰につけるほどの小さな
 ものでしたが、時代が経つにつれて大きくなり、茅の輪をくぐって罪や穢れを
 取り除く「茅の輪くぐり」神事になりました。

 




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