世田谷区指定文化財
「十一面観音」
(非公開)
室町時代風の
男性的な表情
『ポンポコ新聞』
第31号より(2008.4)
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2007年12月、知行院(喜多見5丁目)にある「木造十一面観音菩薩立像」
が世田谷区指定文化財に指定されました。
この像はかつて知行院の本尊だったそうです。
檜材の一木割矧造で、玉眼と白毫は水晶製。菩薩によくある装飾品がなく、
如来のような簡素な姿であること、意志的な眼差し、男性的な表情であること
などから、制作時期は室町時代、15世紀後半ごろと推定されています。
調査した郷土資料館では、「中世まで遡る仏像が極めて少ない世田谷に
あって、本像は貴重な作例である」と言っています。
なお、現在の本尊は木造薬師三尊像。氷川神社の別当寺で神社に隣接
していた祷善寺(長禄元年(1457)に没した良尊を開山と伝える古刹)の
本尊だったもので、明治初年頃廃寺となった際に慶元寺へ預けられ、
後に知行院へ移座されて明治45年に本尊となっています。
参考資料および写真出典:
世田谷区教育委員会『世田谷区 文化財調査報告集-9-』2000.3
知行院/世田谷区喜多見5-19-2
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